熊本日日新聞より転載。
熊本地震で土砂崩れが多発した南阿蘇村立野地区で、被災家屋の公費解体が本格化しつつある。避難勧告が続き、日中も住民の姿がまばらな地区の所々で重機の音が響き始めた。
「夫が残してくれた家だけん、やっぱりさみしか」。同地区の主婦立野ヤイ子さん(80)の自宅は「大規模半壊」と判定され、今月19日に解体が始まった。夫尊夫[たかお]さんは1982年、54歳で他界。退職後の住まいとして実家を建て替えたが、新居を見ることはなかった。
34年の思い出が詰まったわが家は「体と心を休める場所だった」とヤイ子さん。「住み始めた頃は、子どもの学費や生活費などを捻出するため、立野から熊本市や大津町までバスで通勤していました」。今は大津町の仮設住宅に1人で暮らす。自宅の再建は考えていないという。
立野地区で公費解体が始まったのは9月下旬。村は「断水が続いているため、作業に必要な散水車を持つ業者の確保に時間がかかった」としている。村によると、地区の約340世帯のうち、約100世帯が公費解体を申請。解体が済んだのは約1割という。(岩崎健示)
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