創世 9:2 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。
洪水のあと、神様はノアとその息子たちを祝福しておられます。ふたたび創世記の初めにある「産めよ、増えよ、地に満ちよ」という言葉が繰り返されています。そして、「地の生き物」はすべて彼らに委ねられ、それを食べることが許されています。全ての生き物、自然を神様から委ねられた人間はどのように生きて行くか。契約が結ばれ、契約のしるしとして雲の中に虹を置かれたと書かれています。
被災地・気仙沼の漁師さんが教えてくれたことがあります。「津波のあと、魚は毒をもつ」。これは、昔からの言い伝えだそうです。津波のあとの魚は食べてはいけないということです。良く考えてみると、津波によって人がつくってきた生活のいろいろなものが海に流されていきます。それによって海が汚染され、魚が毒をもつようになるのだと思います。今回の被災地でも泥かき作業をしながら、そこに含まれる病原菌の多さ、そして化学物質、加えて放射線となれば、それがすべて海にも流れているわけです。魚が自分で毒をもつのでなく、人間のしてきたことによって毒をもたされるのでしょう。そのことは人間に帰ってくるのです。神様が創造された世界を、私たちはどのように保全してきたかを問われています。
神様は洪水おさまったあと、ノアと息子たちを祝福して地のすべての生き物を「あなたちの手にゆだねる」と言われました。委ねられた私たちはそれをどのように管理し、保全してきたのでしょうか。被災地は復興へむけて第一歩を踏み出しています。元に戻すのではなく、新しく社会を作りだしていく作業が行われています。そのなかで、ルーテル教会は何を中心にしていくかが問われているように思われます。
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