ベツレヘムは聖書の中では重要な土地です。ラケルの墓、ダビデの出身地、ダビデの井戸、キリスト聖誕地、ヘロディオン(ヘロデがイエスの誕生後に街を見張らせた軍事基地)等。旅行者にとっては魅力ある観光地です。ところがそこが分離壁に囲まれて監獄の街になっていることをどれだけの旅行者がわかっているでしょうか。ツアーバスでさっとやってきて30分観光してさっとエルサレムへ帰っていく。まさに風のように。
そのひとつの観光地が「羊飼いの野原」と「羊飼いの野の教会」です。フランシスコ会の教会です。2000年前のクリスマスの日、天使の大群がここを訪れ、野宿していた羊飼いに「キリストが生まれた」ことをつげます。そして歌を歌いました。それがクリスマスキャロルです。
夜ここにきて空を見上げると、きっと天使がやってくるように星が輝くのだろうなと思います。キリストが生まれた日、天使たちは「天には栄光、地には平和」と賛美の大合唱をしました。とても皮肉な話です。「地には平和」。このベツレヘムの今を考えるとき、その平和はどこにいってしまったのでしょうか。もしいまキリストが誕生する時だったら、ナザレからやってきても分離壁に阻まれて、聖誕教会までたどりつかないで生まれることでしょう。
なんて考えながら、羊飼いの野をみつめていました。観光客の風ではない、ここちよい風が吹いていました。教会の中からはオリーブの笛によるアベマリア。ああ、もったいない至福の時間。でもN先生ここでも「さみしい羊飼い」の曲も聞きたかったです。いま思うと!!!