広島女学院大学の入学式に来賓として出席しました。来賓といっても学校協力会の会長として出席させていただいたのですが。卒業式、入学式に招いていただけることに感謝です。そこで語られる、理事長・院長、学長先生の式辞にいつも感動させられますし、学生の式辞もしっかりとしたもので「さすが女学院」と思わされています。
今回の入学式では、新しく学長に就任された長尾ひろみ学長の式辞がありました。これまで先生の働きであった司法通訳官として働かれた25年の経験から語られました。そのなかで、東アジアからの不法滞在労働者として法廷に立った女性の話をされました。法廷では本人確定のための立証尋問がおこなわれるそうです。名前、国籍、と聞いていき職業を聞かれた時、彼女は「売春婦です」と答えたそうです。裁判官は調書に「ホステス」と書かれてあったので聞きなおしました。すると何度も言わせないでという雰囲気で「売春婦」と答えたそうです。次に宗教を聞かれたとき「カトリック」と答えました。裁判官は「あなたはクリスチャンで神を信じているのに、いまの職業に関して恥ずかしくないのですか」と聞いたところ、彼女は次のように答えたそうです。「私はウエスト(腰)から上は神様に仕え、ウエストから下は家族に仕えています」と。
学長先生は、「この女性は19歳です。皆さんと同じ年齢でした。本当なら大学にいって学びたいと思っていたのです。しかし、できませんでした。この大学に入学される皆さんはまず感謝してください」と述べられました。両親に、友達に、学校に感謝することから始めてほしいと。いま自分が置かれている状況は、どんなに恵まれているか、そのなかで何をせねばならないかを考えてほしいということでした。
神様はどんな人生をその人に与えておられるか、それは神様しかわかりません。どこに感謝すればいいのかわからない状況もあるかもしれません。しかし、きっぱりと「神様と家族に仕えている」と言ったその女性の言葉の重さに胸を貫かされました。今年の入学した学生にとって忘れてほしくないメッセージ、私の心にも刻まれたひと時でした。