現在のボランティア活動は「泥出し作業」がおもな仕事です。それは一つの仕事ですが、もっと大切な仕事もしています。それは「会話」です。被災者の方々に直接出会い、共に時間を過ごし、たくさんの話をきかせていただいてます。心のケアが必要という言葉を耳にします。心のケアやりますというチラシも何枚もみています。しかしその場所に行ってみてもそんなに人がいるわけではありません。ある避難所では「傾聴ボランティアだけは断る」と言われました。このような震災では、訓練をうけた専門家が必要ななのか?そうでないのか?と考えさせられました。
そんなとき、泥出し作業をしながら多くのボランティアが「心のケア」を自然としていることに気がつきました。彼らは作業をしながら、よく話を聞いているのです。津波の時のこと、家族のこと、いま一番必要なものはなにか。どんなに明るいおばちゃんでも津波のときのことを語りだすと涙を流されます。家族が流された話、友達が、親戚が。そしてこれからのこと。ボランティアはその一つ一つを丁寧に聞きながら泥出し作業をしているのです。
体力に自信がなくても、そこに共にいるだけで確かな働きをしているのです。