マタイ6:3 施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。
震災救援活動で支援物資を届けることは大変難しいことだと教えられました。一律に同じものを支援するというやり方はとても公平なものでした。しかし、人は一律に同じものを必要としているわけではありません。その人にあった支援を考えねばなりませんでした。ただ公平性も大切でした。少しでも違う物資が配られた時、喧嘩になったということも聞きました。本当に正しい支援というものがあるのかと疑問に感じることもありました。
イエス様の教えに「施しをするには」というのがあり、人々への施し、寄付をすることに関して教えておられます。当時の宗教指導者たちやファリサイ派の人たちは、自分の寄付をしているところを人に見せて自分が義の行いをしている立派な者だと自己顕示していました。神様はそういう動機で行う施しをよしとしない。よい行いと言うのは。人に見せなくても、見られてなくても、神が見ていると言われています。
東日本大震災ルーテル教会救援では「おすそわけプロジェクト」をしました。各家庭の台所にあるものを「おすそわけください」というプロジェクトです。多くの教会・個人の皆様から物資が届きました。本当に感謝です。あるところで活動報告したときに「現地に物資を届けるのはいいが、送料がかかってもったいない。送料分とあわせて現金で送るほうが現地にもいいのではないか」とのご意見をいただきました。確かにそうだなと思います。ただそのとき思ったのは、この「おすそわけプロジェクト」というのは、物資のみを支援するのではなく、みなさんの心も届けてくださるという意味があるのです。全国のみなさんが心をこめ、台所から自分たちの物をわけるのです。支援する方も、支援を受ける方も共に恵みにあずかることができればと考えてのことでした。すべては神様がみておられるのです。
イエス様は「施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない」と言われました。施しをするとは、お金とか物資ではなくその人の心が大切だと言われたのです。人に見てもらおうではなく、神様が見ておられることを思いながら、自分たちの最善の方法でできることをしていくのが「おすそわけプロジェクト」です。