詩篇 122:7 あなたの城壁のうちに平和があるように。
被災地で救援活動していたころ、避難所にもよく出入りをさせていただきました。私たちがいったころは避難所生活も1ケ月を過ぎた頃でしたから、各家庭の場所が整理されプライバシーが守られていました。しかし、このプライバシーをどうやって作ったかといえば、隣りとの境界線に壁を作ることからだったそうです。実はこの壁が避難所生活のなかで大きな問題となったとも聞きました。壁が出来たばっかりに「共に」ということがなくなったのかもしれないと。プライバシーとは何か、それを守るとは何かを考えさせられました。
旧約聖書・詩篇にある「神殿にもうでる歌」です。内容は、エルサレムを称える歌です。エルサレム巡礼に出発するときの喜び。困難な巡礼の旅を終えてエルサレムに入城した喜び。巡礼者たちが平和を願うように促され、それに応えて歌うというものです。その中で、壁のうちに平和がと唱えています。
事務局にいたころ、毎朝掃除のおばちゃんと少しだけ話しをしました。ある日のテーマは謙虚になるということでした。おばちゃんはいまでも高校の校長先生の訓示を覚えているそうです。それは「自分がつくった壁から覗くと、人は壁の向こう側の人を見下すことになる。自分の後ろにはもっと高い壁があることを覚えておきなさい」という話だったそうです。おばちゃんは、その後ろの壁から見ておられるのが神様だと思うと言っていました。人はすぐ壁をつくってしまうけれど、壁の中で平安に生きるには、謙虚になることだと。そのように生きてきたら壁もなくなってまわりが平和にきたと。朝から考えさせられる言葉でした。
私たちは人との関係ですぐに壁をつくります。自分を壁の中において、そとを覗きながら生きています。そのとき、人を見降ろしていることに気がつきません。壁のうちにある自分に平和があるとき、壁はなくなり人を見降ろしたりしないですむのだと思います。そのためには、いつも見守ってくださっている神様に気がつくことが必要です。もともと自分の後ろに高い壁などなく、神様がともにいてくださるだけなのですが。
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