コロサイ 4:14 愛する医者ルカとデマスも、あなたがたによろしくと言っています。
聖書をまず手にしたとき、何から読み始めるでしょうか。私は福音書から読むようにと教えられました。ただ、マタイによる福音書から読みましたから、長い系図に「まったく面白くない」という感想をもちました。もしルカによる福音書から読み進めたらどうだっただろうと思います。ルカの文章はとても綺麗で、物語が優しく、クリスマスのできごとの美しさに心をひかれただろうと。もし聖書を初めて読む人がいたら、ルカから読むことをお勧めします。
ルカは、福音書と使徒言行録の著者です。パウロの手紙によると、ルカはギリシャ人の医師で、パウロの第3回と第4回宣教旅行に同行したことが示されています。その後、パウロが2度目に逮捕されてローマに滞在していたとき、ルカだけは彼とともにいたことが2テモテ4章にしるされています。ルカ福音書がギリシャ語で書かれ、美しい表現で順序正しく書かれていることで、彼が高い教育を受けていたことが分かります。ルカは特にキリストの優しさを浮き彫りにし、善きサマリア人、ザアカイ、放蕩息子など、低くされている人々を題材としたたとえ話は、独特のものです。また、受胎告知、マリアの讃歌等のキリストの誕生、幼年時代をいちばん詳しく書きとめ、母マリアが果たす役割をも記しています。
聖書研究会でクリスマスの記事をもう一度読み返すチャンスが与えられました。ルカによる福音書から受胎告知の場面をもう一度真剣に読み返してみたのです。すると天使ガブリエルが告げた言葉「おめでとう」に引っかかりました。なにが「おめでとう」なのか?赤ちゃんができたことか。それとも選ばれたことか。ところが聖書原典の本文は「おめでとう」ではありません。むしろ「こんにちわ」「ごきげんよう」と挨拶したのです。もっとも良い訳は「シャローム」だと思います。だとすると、マリアにむかって赤ちゃんができたからおめでとうといったわけでなく、「神様が共におられるよ」と天使ガブリエルはいったのです。クリスマスの出来事をとおして語られるテーマはまさに「神が私たちと共におられる」時が今だと言うことです。
ルカは「時」を大切にしています。使徒言行録を書くことによって、「イスラエルの時」「イエスの時」「教会の時」を結ぶ一直線の救いの歴史を記しました。福音書の冒頭でも「順序正しく」書くことを宣言しています。はじめて福音書を読む方にはルカ福音書をお薦めします。それは、イエス様の出来事が旅を歩むように書かれているからです。順序正しく書いてあることの大きな意味は、分かりやすいということです。
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