ルカ 9:62 イエスはその人に、「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」と言われた。
福富護氏の「らしさの心理学」という本は、次の文で始まっています。 「『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角この世は住みにくい』。みなさん御存知の夏目漱石の『草枕』の一節です。世のなかは理屈どおりに機能しているわけでなく、感情のおもむくままでもない。無理して頑張っても窮屈でしかない。そう考えてみると、『自分らしく』ということがどんなに大変なことかわかる」。この本を読みながら、私たちがよく「~らしく」というけれども本質がみえてないことが多いと気づかされます。
イエス様は弟子の覚悟を教えられました。ある人は弟子になる前に家族にいとまごいをさせてほしいと願います。しかし、イエス様はすでに鋤に手をかけて始まっていることに対して、後ろを振り向くなといわれるのです。弟子となることで、なにが一番大切にしなければならないかを教えられました。使徒言行には「あなたが信じれば、あなたもあなたの家族も救われます」と言う言葉があります。
仏教の本に次のような文章を見つけました。失敗したことを「何でこうなったか」といくら考えても、意味がありません。なったことは、なったことなのだから。大切なのは、「ではどうすればいいのか」「次にどうするのか」と考えることです。私たちは「~なかったら」「~してなければ」と考えることが多いことです。これは後ろを振り返ることです。しかし、振り返ったところで変えられるものはなにもありません。変えられることができるのは未来だけです。ですから、振り返ったあとはそこから学び前をむくことだと思います。
イエス様は「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」と言われました。悔い改めは必要だが、そこに留まってはいけないといわれます。悔い改めて新しい生き方をする。これは前をむくことです。過去に戻らず、過去を踏まえて前に生きる。それがイエス様と共に歩むことだと思います。