詩編 17:5 あなたの道をたどり 一歩一歩、揺らぐことなく進みます。
この詩篇は、裁判に臨む無実の人の祈りと理解されています。詩篇が書かれた時代は、夜の間に裁判が行われ、翌朝に判決が言い渡されていたようです。詩人は神様の正義が公平に行われるように祈っています。そして与えられた信仰によって、目の前の「一歩」を確実に進むことを望んでいます。神様にあって正しいとされる目の前の「一歩」を進むことを忘れてはいけないと訴えています。
禅の逸話に次のようなものがあります。ある高僧が弟子を連れて庭を歩いていました。風が吹いて落葉が一枚落ちてきました。その高僧は落葉を拾って袂(たもと)に入れました。弟子は「老僧、やめてください。落葉はのちほど、誰かに掃かせますから」とたしなめました。すると高僧は「馬鹿者!『のちほど』で庭が綺麗になるか。いま1枚拾えば、その分だけ庭が綺麗になったのだ」と弟子を叱りつけた。私たちは目の前に与えられている課題を「のちほど」「あとで」と考えることがあります。この考えを持つと、その仕事はできなくなってしまいます。目の前にあるものから、まず片付けていくことで仕事を完成することができます。この心がけが今の季節に大切なことです。
アドベントの季節は、まず悔い改める一歩を踏み出す時です。私たちに与えられたこの時期の働きも、後回しにせず目の前のことから確実におわらせていくことです。