ヨハネ 2;22 弟子たちは、イエスがこう言われたのを思い出し、聖書とイエスの語られた言葉とを信じた。
イエス様が神殿から商人を追い出されたとき、そのあまりも激しい出来事に弟子たちは戸惑いました。イエス様による宮清めの出来事と、神殿のたいする熱意に驚きました。しかし、十字架と復活をとおして再びその出来事を思い返したとき、イエス様の熱意の真意を確かめ、御言葉を信じることができたのです。あとになってわかることもあります。その時に必要なことは、それを心に刻んでおくことです。
被災地で救援活動しておられる方の中に、被災者の方もおられます。県や市の職員、社会福祉協議会の職員のみなさんなどです。ともするとその方々が被災者であることを忘れてしまうことがボランティアにはあります。心ないクレームが受付にくることもあります。「俺たちボランティアは無給でやっているんだ。お前ら職員は金もらってやっているなら、もっとボランティアに仕えろ」と怒鳴りこんできたこともありました。被災された職員さんたちと共に働いていると、被災された状況をよく話してくださいます。そしてテレビニュースで流れる津波の様子をいつもみておられました。そこに共にいるしかないのですが、勇気を出して聞いてみました。「つらくないですか」と。すると「つらいけれど、これを忘れてはいけない。心に何度も刻みつけることが大切なんだ。ここで起こったことを忘れてはいけない」と答えられました。忘れてはいけない。4ヶ月たってその言葉が心に響いてきます。
弟子たちはイエス様の十字架と復活のあと、御言葉を思い出しています。語られたときには理解できなかったことが、時間をおいてイエス様のなされたことがその御言葉とともに弟子たちの中に復活したのです。聖書の御言葉を心に刻みつけておくことが大切なのは、それを思い出すことができるからです。どんな試練や悲しみの中にあっても、刻みつけられたイエス様の御言葉が私たちを支えてくださるのです。