キリスト教文書センターが毎月発行している雑誌に「本のひろば」があります。神学書の解説や紹介がおもに書いてあります。わたしも神学生のことから毎月読んでいます。その「本のひろば」2011年11月号の原稿執筆依頼をうけました。「私などが執筆していいのか?」という驚きでいっぱいでした。しかも冒頭の「出会い・本・人」のところでしたから、なおさら驚きました。
毎月発行されるたびに「出会い・本・人」のところを真っ先に読んでいました。執筆しておられるのはキリスト教世界のなかでも神学者、著名人ばかりでした。その方々がどんな本に出会い、人に出会ってこられたのかを読むことは神様の恵みでした。とくに若いころに読まれた本などはとても参考になり、それを買って私も読んだものでした。そんなページに自分が執筆することになり、身も引き締まる思いでした。
さて、何を書くか。今の自分で何が書くことができるか。神様がいま私に語りかけていることはなにか。御言葉に立って何を伝えたいか。そんなことが頭をぐるぐる駆け回りましたが、みなさんに伝えたいことはただ一つだと気がつきました。東日本大震災救援活動の中で出会った神様の御言葉です。3月から救援活動のために被災地に入り、そこで多くの被災者の方と出会いました。その中で神様の御言葉にもふれました。そのひとつひとつを思い出し、その根っこにあるものを書くことにしたのです。
私の根っこにあったもの。それはルターの「キリスト者の自由」でした。「となりびとに対して、私も一人の小さなキリストになる」。まさに今回のルーテル教会救援の根っこです。もし機会があれば「本のひろば」を読んでくださると感謝です。一人の牧師の証でもあります。今日は宗教改革記念日礼拝が多くの教会でもたれます。ルターが教えてくださったことを、いま現代において生きるものでありたいと願います。