25日一人の姉妹が天に召されました。お会いしたのは先週1回きり。しかも結婚式をさせていただきました。そこには兄弟、医師、看護婦、ケアマネージーさんと一緒にお坊さんと私がいました。奇跡の結婚式が行われたんです。
結婚式の2日前お坊さんから電話を頂きました。「結婚式をあげて頂けませんか。もう末期の患者さんでいつ天に召されるかわかりません」。臨床宗教師として共に活動する住職からでした。彼のつながりからお寺に「死」について聞いてこられたご夫婦の結婚式でした。不妊治療を続け17年でやっと子どもが与えられました。しかしそのときすでに癌に侵され、治療と共にお子様も天に召されたのです。「死」とは何でしょうか。それは「生」とは「いのち」とはという問いでもあったことでしょう。彼女は「まだ結婚式をしていない。私はもうすぐ死ぬのはわかっています。いろいろな事情で結婚式がでなんかった。ドレスをきて結婚式がしたかった」。この言葉を住職は受け止め、その苦悩に寄り添ったのです。そして結婚式を計画し、ドレスであればキリスト教だと電話して下さったのです。
結婚式の日、朝まで昏睡状態でした。しかし奇跡はおこります。結婚式の時間には元気を取り戻し、これまでになく話ができるようになられました。そして誓約の言葉も、指輪の交換お誓いの口づけもすべてできました。最後には記念撮影、そして笑顔でVサインをされました。素晴らしい結婚式でした。その午後から昏睡状態に戻られ、5日目に天に召されました。あの結婚式の2時間だけ神様が時間を与えられたのでしょう。この出来事がどれだけご主人、そしてまわりに集った方々に祝福を与えたことでしょうか。
臨床宗教師は布教・宣教を目的とせず、宗教間で協力することが前提にあります。専門家とつながりをもって、人の苦悩の現場に寄り添う事でもあります。この出来事をとおして神様が語られていることを聞くことができました。感謝。