ハガイ 1:5 今、万軍の主はこう言われる。お前たちは自分の歩む道に心を留めよ。
教会を転勤するたびに思うことは「よく何年ももったなあ」という感想です。いまだから告白できることがありますが、東京教会から移って来たときに荷物を運んだダンボール箱が昨年まで全部とってありました。いつでも移動できるように、また、いつ駄目になるかもわからないのでとってあったのです。牧師として召されての「最初の一歩」は9年でした。家族が一人一人増え、地域社会との交わりも与えられ、教会では神様の祝福を受けました。「神様なぜですか」と問う日々が与えられ、そのたびにまったく予想もできない答えをいただいてきました。これからまだ、新しい10年あります。いつだって自分の道に歩むことが大切です。
ハガイ書が書かれた頃は、神殿も王も遠い過去の思いでとなり、経済困窮、内部紛争の中で、共同体の復興の意欲も消え去ろうとしていました。そんなとき、預言者ハガイは声をあげました。この落ち込んだ窮状のなかで、神殿の再建を敢えて呼び掛けるのです。この小さな預言書は、目の前の現実が困難であるからこそ、まず献げることから出発することを訴えています。
大震災のあと、仙台ある教会、信徒の方々との連絡がとれず心配しました。おおきな被害もなかったということで、ひとまず安心しました。しかし、だからこそ地域への救援活動へと目を向けることができました。ただ最後まで連絡が取れなかったのは引退教師のS先生でした。10日後にやっと連絡がとれ、ご夫妻とも無事だったということでした。またその時、心温まるエピソードをききました。ライフライン、食料がなくて大変のとき、何時間もまって給水車から水をもらったそうです。ところがペットボトルに入れてもらった、なけなしの2リットルの水を、通りかかった老夫婦に差し上げたそうです。自分たちよりも苦労している老夫婦がいて、これから何時間も並ぶと思った時、すっと水を差し出されたというのです。
ハガイは「こんな時だからこそ」と神殿の再建を呼び掛けています。窮状に陥ったときにこそ、自分の歩む道を心に留めよというのです。神様こそ窮状の中での支えであり、イエス様こそ寄り添ってくださるお方であることを知るのです。私たちの歩む道は、イエス様のみ言葉に立つ道しかありません。そのイエス様がいまこの時こそ仕えなさいといわれるのです。
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