マタイ 6:34 明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。
禅の話に次のようなものがあります。「池で自分の母と妻が溺れていたら、どちらから先に助けるべきか」という話です。自分ならどうするだろうと思いました。その行動によって「愛」「思い」が表にでてくるような。思い悩んでいるうちに2人とも溺れてしまいそうですが。禅僧の答えは簡単なものでした。「自分に近い方から助ける」です。これは「空」ということのたとえだと思いますが、母か妻か、どちらが大切か、あとでどうなるとか思い悩む必要はないということでしょう。目のまえの出来事に素直に生きていくことです。
イエス様が山上で説教された言葉のひとつです。この34節には「思い悩む」と言う言葉が2回でてきます。聖書で同じ言葉が2回でてくるときは強調を表します。6章の最後にこの節があることを考えると、神様への信頼によって思い悩むことから解放されなさいということでしょう。しかも、明日のことまでもと言われていますから、目の前にある今日を大切にしなさいということです。
ある会合で、90歳の会社社長さんのお話しがあり、テーマは「年金なんかもらわないほうが長生きできる」というものでした。というのも、人間はやることがなくなれば早死にするといわれるのです。お友達の例をとって、「ここ数年、現役で仕事をしたり、大学教授をしていた友達が、家族から『もう歳だから仕事はやめて年金生活でゆっくりしなさい』と、仕事を辞めさせられた。すると3ヶ月もしないうちにみんな死んでしまった」と笑いながら話されるのです。人は生きるために、自分が必要とされていることが大切だと力説しておられました。「今日やることがある」「自分が今日も必要とされている」という人生は、人を生かしていく。ということでしょうか。
今日をしっかり生きることが明日へつながります。今日の命を感謝して、神様へ信頼することです。明日のことは明日自らが思い悩むことですから、それは神様におまかせして、明日の問題とすることでしょう。与えられた今日、いま目の前にある働き、招き、使命に素直にとりくんでまいりましょう。
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